ぼくのお父さんは、毎日アクアラインバス(高速バス)で通勤しています。バスの中で読書や仕事をしたいけど、乗り物よいをしてしまうからできなくて困ると言います。妹もバスが苦手で、出かけても気持ち悪くなって大変です。

アクアラインに鉄道があったらいいのでは?ぼくは鉄道が好きで、路線を考えるのも得意なので、調べてみよう。

アクアラインに鉄道は実現できるのか? ぼくの予想は…

できると思います。

鉄道は時間が正確でじゅうたいもありません。バスが苦手な人も楽になります。鉄道運賃は高速バスより安いはずなので、気軽に利用できると思います。

さらに、便利だと使う人が増えて、袖ケ浦市や木更津市に引っ越す人が多くなるだろうし、観光客も増えると思います。
ぼくはアクアライン鉄道は実現すべきだと考えます。

東京湾アクアラインについて調べる

図書館と資料館で調べて分かった!

神奈川県川崎市から千葉県木更津市の15.1kmを結ぶ自動車専用道路。平成9年12月18日に開通。総事業費はなんと1兆4823億円。

こんなにかかるとは思わなかったのでびっくりしました。
1兆円を超えるお金なんてイメージできないです!

海底トンネルとか海の上の橋を通るとなると、やはり安全性が気になります。

資料を調べたり設備の見学に行ってみると、地震対策や火災対策、水もれ対策、監視カメラや火災検知器など、きちんと考えられていることが分かりました。

世界でも最高の防災システムがあるので、鉄道を作っても安全面の心配はないと思います。

アクアライン開通後の効果を調べました。

陸回りとアクアラインを比かくすると、アクアラインができて便利になったことが分かりました。

  • 距離 約70kmの短縮
  • 時間 約1時間の短縮
  • 経費 2590円安くなる

ぼくは一年生の時に袖ケ浦市に来ましたが、両親がこの場所を選んだのは都心の会社に通えて、自然豊かな「便利な田舎」という理由です。ぼくたちみたいに都心から移り住む人がいるのも、アクアラインの効果です。鉄道ができればもっと良い効果が期待できると思います。

もしアクアラインに鉄道ができたら

こんなに利点があります!

  • 時間(渋滞がなく時間が正確)
  • 安全性(車より安全で事故が少なくなる!)
  • 快適さ・利用しやすさ(運賃が安い!乗り物酔いしにくい!)
  • 環境面(排気ガスを出さないから大気汚染をしない!)
  • 二次的な効果(観光客がきっと増える!移住してきて房総地域の人口が増える!)

でも…
考えているとマイナス面も出てきます。

  • 電車は座れないときがある
  • JR総武快速線直通運転がなくなるかもしれない
  • 停電が起こると電車も止まる
  • 高い建設費がかかる
  • 工事によって自然破壊されないか心配

両方を考えてみても、プラス面の方がとても多いと思います。なぜ最初からアクアラインに鉄道を通していないのか不思議です。

アクアラインが計画される段階で、
鉄道の構想はなかったのだろうか?

図書館の人が一緒に調べてくれましたが、どの資料にものっていませんでした。最初から自動車専用道路としてしか計画されなかったようです。

ぼくと同じようなことを考えている人がいないかインターネットで検索してみると「東京湾アクアライン並行鉄道建設研究会」というホームページを見つけました。ものすごくたくさんのことが くわしくびっしりと書かれています。

むずかしすぎてあまり理解できなかったけど、図や写真なども見て、お母さんにも少し読んでもらって、なんとなく構想がわかったので、わかったはんいで紹介します。

東京湾アクアライン
並行鉄道建設研究会の構想

まず2008年の東京新聞に「アクアラインに鉄道を」という記事がのったことが書かれていました。図書館で探してもらいましたが、図書館では保管していませんでした。

新聞社に電話したら、紙面のコピーを購入できることが分かりました。代金を払った数日後、コピーが郵送されてきました。

記事を読んでわかった!!

構想を考えたのは大森祐一さんという人で、研究会のホームページを作っている。

2008年の新聞記事の構想と、2016年現在のホームページに書かれている構想は少しちがいます。

2008年の構想
  • 愛称は羽田エクスプレス。
  • JR内房線からアクアライン上に線路をのばし、羽田空港地下に駅を設ける。さらに品川付近まで地下を走ってりんかい線に入り、埼京線を利用して新宿に乗り入れる。
<利点>
  • 木更津⇔新宿が38分となり、木更津から都心へ通勤通学ができる。
  • 空港アクセス鉄道としても役立つ。
<課題>
  • 数千億円にのぼる建設費
  • トンネル出入り口の4%の急こう配
  • 橋の上での強風

成田エクスプレスはあるのに、羽田エクスプレスはないから良い名前だと思います。

次は、改良された現在の構想です。

2016年の構想

アクアラインを使わずに、アクアラインと並行して東京湾を横断する鉄道路線を作る。(羽田~金田の15.2kmに鉄道専用のトンネルを新しく作る)

<利点>
  • トンネルの直径が小さくてすむ。
  • 始発も終点もすでに駅があるので、建設費用が少なくてすむ。
  • 直通予定の内房線すべての駅が10両編成以上が停車できる。
  • 多数の羽田利用者が見込める。
<課題>
  • トンネル建設費900億円程度をどう集めるか

この構想には「すごい!」しか言葉が出てきません。鉄道構想のくわしい根拠がたくさん書かれていますが、ぼくは今、その10分の1も理解できていないと思います。そのうち理解できるようになりたいです。

次はぼくの構想を紹介します。

ぼくの構想1:
千葉の観光・レジャー地に行くルート

海ほたる駅と金田湊駅は、ぼくが考えた新しい駅です。
海ほたるは年間観光客数が千葉県で3位なので駅をつくれば多くの利用者が期待できます。金田は最近お店も住宅も増えているので駅をつくったら便利です。海が近いので金田湊という駅名にしました。

  • 愛称はアクアラインエクスプレス(ALX)
  • ルートは、川崎→木更津→鴨川
  • 川崎からアクアラインを通り、そのまま房総半島を横断して九十九里浜より下の外房へ出られる初めての鉄道路線なので、とても便利になります。
わかったこと

ぼくの構想だと運賃は安くなる。時間や乗りかえは少し多くなる。運賃を安くしたい、バスが苦手、道のりを楽しみたい場合はアクアライン鉄道を使うと良い。

川崎からアクアラインを通り、木更津を経由し、市原ぞうの国の最寄り駅の高滝駅を通って、東金まで行く路線。有名な九十九里浜に行くには東金駅で降ります。今はすごく遠くて不便ですが、このアクアライン鉄道ができれば断然便利になります。

わかったこと

ぼくの構想だと、乗りかえ回数は今と変わらないまま、運賃・所要時間・走行距離が改ぜんします。
アクアライン鉄道ができれば便利になるということです。

現在道路も鉄道路線もない区間は、走行距離を調べるのに苦労しました。お父さんのアイデアで
①地図にピンをさして、②糸でぼくの考えたルートをなぞって、③その糸の長さを測り、④地図の縮尺どおりに距離を求めました。

どこに鉄道を作るか?

アクアラインは将来6車線に増やせるよう設計されているので、それを使えるのではないかがぼくの考えです。

<課題>

研究会の構想と同じで、

  1. 数千億円の費用
  2. 4%の急こう配
  3. 橋上での強風

ぼくの構想2:モノレールで浜松町に行くルート

  • 愛称は東京モノレールアクアライン線
  • 同じ鉄道でも電車より小さく軽いモノレールは、アクアラインに通しやすいと思います。
  • ルートは、木更津→羽田空港→浜松町

このモノレールができれば、羽田空港や浜松町に行く簡単な行き方が増えて便利だし、地方や外国から羽田空港に来た人に房総半島に来てもらえるようになると思います。

わかったこと

運賃・所要時間・乗りかえ回数・走行距離のすべてが良くなります。アクアライン鉄道は気軽に利用できると思います。

どこにモノレールを作るか?

アクアトンネルの道路の下の管理用通路を使います。工事が最小限にできるから、費用は少なくてすむと思います。

<課題>

管理用通路はひなん路でもあります。モノレールを走らせて、わきに十分なスペースがあるか、はっきりとは分かりません。

実現の可能性を探る

ぼくが考えた構想は実現できるかどうか調べます。図書館で相談しましたが、どんな本にも書かれていません。困りました。

アクアラインなるほど館で聞きました。

質問を受けてくれる人はいませんでした。受付に相談したらNEXCO東日本に聞くよう言われました。

NEXCO東日本に聞きます。

電話をしたら、メールでお客様センターに問い合わせるよう言われてメールしました。

ぼくの質問にすべて答えてくれました。

鉄道をつくるほどのスペースはなく、管理用通路を使うモノレールの構想も難しいとのことです。

千葉県庁に電話したら、その場で質問に答えてくれました。お母さんの仕事の関係の人で、昔県庁でアクアラインの仕事をしていた和田さんという方にも話を聞くことができました。

県庁も鉄道構想には賛成じゃなかったです。
昔は鉄道構想があったけど、鉄道会社がアクアラインに鉄道を通す利点がないと判断して興味を示さなかったようです。

利点がないという判断はちょっとくやしいです。

袖ケ浦市に電話したら、市役所の都市整備課で話が聞けました。

アクアラインに鉄道ができて人口が増えたら市もうれしいが、むずかしい。
→ 今できることからやっているそうです。

  • ETC割引を継続させる
  • アクアラインバスの路線を増やす

東京湾アクアライン並行鉄道建設研究会にホームページから問い合わせメールを送り、質問に答えてもらいました。

2008年に新聞で紹介されたあと、何か反響はありましたか?

木更津市議の國吉さんが応援してくれることになりました。

県庁や市役所で話を聞くと、鉄道建設について可能性は低いと言われました。実現させるためには誰に働きかけたらいいですか?

残念ながら千葉県も木更津も袖ケ浦も役所はあまり乗り気でなさそうです。推進派の方が議員や首長になるしかありません。

やっぱり実現はとてもむずかしそうだと分かりました。
議員の役割なんて今まで分からなかったけれど、メールを読んで少し分かりました。ぜひ、アクアライン鉄道構想をいいと思ってくれる人に国会議員になってほしいです。

行政情報システム誌記事筆者・岡崎宏行さんに聞く。
図書館の人が取り寄せてくれた2004年の雑誌にのっていた「アクアラインの下に鉄道!」という記事の筆者です。記事の最後にメールアドレスがあったので、メールしてみました。

「先日テレビで『アクアラインの下に鉄道が通せるようなトンネルが準備されている』という話を聞きました。」と記事に書いてありました。どのテレビ局なのかとか、何でもいいから手がかりがほしいと思いました。

岡崎さんの返信から、どのテレビ局かはわからなかったけど、多くのマスコミが報道していたことが分かりました。

岡崎さんはぼくのメールに必ず返信をくださって、ぼくの人生を応えんしてくれました。
これからもがんばります!

市役所で話を聞いて、都市計画に興味画出てきました。東京湾の開発や、袖ケ浦駅海側の開発についても調べました。

アクアライン鉄道で地域発展を
~ぼくが考える都市計画~

アクアライン鉄道で…

  • 東京湾岸地域を環状路線で結ぶ
  • アクアラインの渋滞を減らす
  • 全国からやってくる観光客を増やす
  • 豊かな自然・食べ物に恵まれた房総半島にすみ都心へ通勤できる

アクアライン鉄道の実現については、今のところむずかしいことが分かりました。でも調べるうちに、他のいろんなことを知ったり、考えることができました。鉄道ができたら良いことがたくさんあります。費用の面が解決して、必要性が高まったら、実現するんじゃないかと期待しています。この研究で一番心に残ったのは、アクアラインが安全・自然環境・景観など色々考えて最先端の技術で作られていることです。地元の誇りだと思うようになりました。そこにいつか鉄道を通せたら最高だと思います。