学校で、先生から高宕山自然動物園のサルがたくさん殺された話を聞いた。どうして殺されなくてはいけないんだ!と思った。どうやら外来種の仕業らしい…。殺さなくてすむ方法はないのか知りたい。

外来種ってなんだろう?

お兄ちゃんが言っていた外来種!?
家に帰ってサルの話をして「外来種って何?」と聞いたら、お兄ちゃんが答えてくれた。「外来種のカミキリムシに食べられて、桜の木が腐るんだって」。

カミキリムシの正体は?

図書館で新聞を探してわかった!

カミキリムシの正体は「クビアカツヤカミキリだ。
ぼくのすむ千葉県にはまだいないようだが、もしかしたら来るかもしれない。

インターネットで調べてわかった!

中国やちょうせん半島などが原産で、体調2.5〜4センチ。光沢のある黒い体に赤い胸部が特長だ。桜だけでなくカキや桃、梅、ザクロなどが好物で、成虫が木に卵を産み付けて、幼虫が木の内側を食べて穴だらけにする。駆除するのがむずかしいそうだ。

クビアカツヤカミキリも外来種だと分かった。悪いやつなんだと思ったよ。

〜外来種とは〜
ぼく達の地いきに元々は住んでいなかった生物で、人間の手によって、外から持ち込まれた生きもののこと。元々住んでいたものは、在来種(または「在来生物」)という

国内でも地いきが違う生きものを持ち込むと外来種だなんてびっくりした。
外来種って何が悪いんだろう。

調べてわかった! 外来種が起こす問題
  1. 在来種が食べられてしまう
  2. 在来種の住む場所、食べ物がうばわれる
  3. かんきょうがこわされて、災害の原因にもなる
  4. 交ざつによってじゅんすいな血のつながりが失われる
  5. 人に害をおよぼす
  6. 産業にもひ害をおよぼす

思っていたよりも問題点が沢山あってびっくりした。でもね、外来種は悪い生きものじゃない!と本にのっていたよ。どう言うことだろう。

調べてわかった!
  1. 外来種はいろいろな問題を起こすけれど、もともと住んでいた地いきでは在来種。
  2. 問題の原因は人間による生きものの移動だ。元々住んでいなかったかんきょうで食べられるものを探して必死で生きようとするのは当たり前のこと。
  3. 外来種には作物や家畜、ペットなどぼくたちの生活に欠かせない生きものもたくさんいる。

人間が運んできたのにちゃんと管理していないのも人間なのに、殺されてしまう外来種。ぼくの住む千葉県のサルはなんで殺されなくちゃいけなかったのか、調べてみよう。

なぜサルは殺されたのか?

外来種のサルは、アカゲザル!

新聞記事からわかった!千葉日報(2017/2/1)
  1. 164頭のアカゲザルの内、交ざつがみとめられた57頭は外来生物法をもとに殺処分された
  2. 動物園近くの高宕山一帯は高宕山サルが国の天然記念物に指定されているけれど、交ざつが進んでいる。
  3. 高宕山自然動物園は、ニホンザルのみを飼育している。
  4. 千葉県では観光しせつで飼育されていたアカゲザルが、閉さによって逃げ出し、広がったと見られている。
  5. 新しく生まれた子ザルも検査される。
  6. 千葉県や国はアカゲザルや交雑種のオスが群れを離れて遠くまで移動するため、交ざつを防ぎきれていない。
  7. (動物園の)フェンスが古くなってこわれて、サルが出入りできる状態だった。

悪いことをしたから殺されたんじゃなかった。外来種の法律があって、日本のサルを守るために殺されたのだ。

外来生物法とは?

法律によって殺されてしまった交雑が分かったサルたち
どんな決まりがあるのか。

本で調べてわかった!

「外来生物法(特定外来生物による生態系に係るひ害の防止に関する法律)」
外来種が地いきの生態系をこわすのを防ぐために2005年から実行されている。かんきょう省は生態系などにひ害を与えたり、そのおそれがある動植物を「特定外来生物」に指定して、飼育やさい培、保管輸入を禁止して、国や地いきの自治体は防じょに努める。

問題を引き起こす外来種は「特定外来生物」のことなんだね。広がることを防ぐために殺されてしまうんだ。

朝日新聞の記事(2017年2月21日)には、ひ害を防ぐためにできる限り苦しい思いをさせない方法で殺処分することになっている、とのっていた。

苦しくない方法なんてあるのかな?ぼくは注射とかをして殺処分すると思うけれど、どうなんだろう?

調べてわかった!

保けん所には犬やネコを殺処分する部屋があって、ボタンを押すとガスが出てくるという話を聞いた。本で調べてみたら、二さん化炭そガスで窒息死させるのは安楽死と言われているが、実際は30分近くももがき苦しんで息をひきとると書かれていた。

残酷すぎてなみだが止まらなくなった。
アカゲザルや交ざつ種のサルも数が多いから、ガスで殺処分されるのかもしれない。

千葉県に聞いてみた。

聞いてわかった!

「アカゲザルや交ざつ種のサルは、注射で殺処分します。まず、いたさをおさえたり、落ちつく薬の入った注射で気を失わせ、眠ったサルに殺す作用の薬が入った注射をして安楽死をさせています」。

何だかホッとした。だけど、問題にされている
アカゲザルってどんなサルなのかな?

問題になっているサルを知る

調べてわかった!
  1. 96頭以上の群れが館山市と白浜町付近にいることが1995年以こうの調査で分かって、ニホンザルのオスがアカゲザルの群れに入り込んだり、アカゲザルのオスがニホンザルの群れに入り込んで、自由に動き回ったりしていることも分かっている。
  2. 千葉県では、2001年から群れ全体のほかくを目指している。
  3. インドでは、特別な動物として保ごされていて、町中で見られる。

守られているニホンザルを知る

調べてわかった!

房総半島のニホンザルは天然記念物に指定されている。
天然記念物の中には、キツツキ科のキタタキのように絶滅してしまった動物や絶滅寸前の動物も多くいる

宮崎県の幸島のニホンザルは、土や砂でよごれたサツマイモを海水で洗って食べた。その行動を子ザルたちも真似して広がり、多くのサルがイモを洗って食べるようになった。今では味付けのためにイモを海水で洗っているんだって。

図鑑で調べてわかった!

アカゲザルとニホンザルは見た目も大きさもよく似ている。
目立ってちがうのは尾の長さ位だ。

よし、高宕山にニホンザルを見に行こう。

高宕山自然動物園には野生のサルが沢山いる。

ずっとぼくのそばにいる
野生のサルだよ。

野生のサルは殺されていないのかな?

高宕山自然動物園で聞いてわかった
  1. オリの外にいる野生のサルは、検査もしていないし、しろうとの目では野生かニホンザルか交ざつのサルか見分けもつかない。
  2. だから殺したのはオリの中のサルだけ。
  3. ちゃんとお坊さんをよんでお経をあげてくようしてもらった。
  4. 手前のオリにいるのは検査が終わったサル。検査待ちのサルは一番おくの部屋にかくり。顔に黒印があるサルは検査中で結果待ち
  5. オリの上には電気さくをはってあるから、中からも外からも出入りできないようになっている。

実物のニホンザルは本当にアカゲザルと似ていて、ならべてみてもぼくには見分けがつかないと思った。

殺されたのはオリの中のサルだけだけど、やっぱり残酷だと思ったよ。千葉県ではどんな対策をしているのかな?

サルたちを殺さないために考える

新聞記事からわかった!
(東京新聞 2017年4月22日)

千葉県が在来種のニホンザルを守るため、5カ年計画(2017〜2021)で外来種のアカゲザルとの交雑種対策を始める
ニホンザルの群れの中に交ざつ種はどれぐらいいるかをしっかり理解するため

  1. 市町村と協力して農家へのアンケート
  2. サルの出ぼつした日時を記録したカレンダーを2年かけて作製する。

カレンダーを2年もかけて作ったら、二年先では殺されてしまうサルが増えてしまうと思う。

千葉県庁で、千葉県かんきょう生活部自然保ご課・鳥獣対策班副主査 萩原妙子さんに話しをきいた。

  1. 「カレンダーはアカゲザルではなくニホンザルがどの辺まで動いているのか、農作物などの被害が出ているかを調べるため」
  2. 「蓮くんが言う通り、大切なことは早く対応することです。それと逃さないこと」
  3. 「アカゲザルと気づいたときにはもう何百頭といた。早くへらせる程、広がりを防ぐことができるので、どんどんほかくの努力をしている」

これ以上殺されるサルを増やさないために!!
ぼくが考えた捕かく器

おじいちゃん家で見た事のあるネズミ取り器を参考にしてみたよ。
1回に10〜15頭捕まえる仕組み

なんと!千葉県の対策オリは、200頭も捕かくできる。

  1. 上からも下からも入れる。
  2. オリの中はサルの遊び道具やかくれ場所、食べ物がある。
  3. 一度入るとトタンがつるつるで登れないので外に出られない。
  4. 入口のパイプにサルの重さがかかると自動的にとびらが閉まる仕かけもある。

このオリでつかまえたサルたちはみんな殺されてしまうの?

  1. 「子どもを沢山産んでいそうな大人のメスは発信機をつけて放し、それ以外はニホンザルでも安楽死させている」
  2. 「アカゲザルとの子どもはしっぽの長さや体の色がニホンザルとの中間で、そういうサルがニホンザルのいる地いきに移動してしまうと見分けが難しくなるため」
  3. メスのサルは生まれた群れで一生過ごすので発信機で群れの位置がわかり、捕かくの作戦を立てることができる」

袖ケ浦公園のすてネコを増やさないために、お金を出し合って去勢手術をしているという話を聞いた。交雑種のサルも去勢手術をしたら殺さなくてすむんじゃないか! 

袖ケ浦市役所で聞いてわかった

袖ケ浦市役所かんきょう管理課 河口真慶さんの話
「特定外来生物として名前がのってしまった生きものは殺さなければいけない決まりになっているから、生かしておけないんです」

ぼくたちに出来ること

殺される特定外来生物たちを助けるためにぼくたちが出来ることを本で調べてみた。
分かったことは、

  1. 「問題が起こる前に予防することが大切ということ。
  2. 飼っている生きものをすてないこと!!飼う前によく考えてから、きちんと最後まで責任を持って飼うことが必要。

まとめ

  1. 高宕山自然動物園の殺されたサルは、アカゲザルとの交雑が分かったオリの中のサルだけだった
  2. 悪いことをしたからではなく、法律によって殺処分された
  3. 外来種にはたくさんの問題があり、今回問題にされたのは、交雑によって雑種が増えることで純粋なニホンザルが絶滅してしまうかもしれないからだ。
  4. 外来種はもともと住んでいた所では在来種で、外国からだけでなく日本の中でも外来種になる。
  5. 自分からやってきたわけではなく、いつも人の手が関わっている。
  6. 今回の最大の原因は、動物園のオリのフェンスがこわれて出入りができていたから。
  7. 今も高宕山自然動物園には検査待ちのサルが沢山いる。
  8. 千葉県ではアカゲザルと交雑種を早く減らして広がりを防ぐために、大きなオリでどんどんサルをほかくしている。
  9. 殺される数を減らすためにも早くつかまえなければいけない。
  10. 去勢手術をすれば生かせるのではと思ったけれど、特定外来種として名前がのってしまった動物は殺さなくてはならないことも分かった。

感想

  1. サルの何が問題なのかも分からなかったので、図書館で新聞を探したり、むずかしい言葉は辞典や本で調べて分かった時はうれしかった。
  2. 調べていく内に犬やネコの保健所での安楽死を知り、ぼくも愛犬がいるので涙が止まらなくなった。人間の無責任さを感じて、知らない方が良かったと思った。
  3. 殺処分のサルを減らすためにはもっと増えないように早くつかまえなければと思ってオリを考えたけれど、千葉県の対策オリがすごく大きくびっくりした。
  4. 今生きているサルだけでも生かしてあげたいと思って、捨て猫みたいに去勢手術すれば助けられると思ったけれど、やっぱりだめだと分かった時はすごくがっかりした。
  5. すてネコは良くてサルはだめ。みんな同じ命なのにむじゅんしている。外来種を運んできたのも、無責任に放したのも、殺処分するのも人間なんだ。本当に無責任すぎると感じた。
  6. 僕たちに出来ることは、飼う前に本当に最後まで飼えるか考えること。責任を持って最後まで飼うこと。すてられる命がゼロになれば、殺される命もなくなるんだ。
  7. この調べ学習がなければ、ぼくはもっと無責任だったかもしれない。誰かの命を大切にすることは、自分の命を大切にすることにつながる。一つ一つの命の大切さを考えることができて本当に良かったと思った。

インタビューに答えてくれたみなさん、ご協力ありがとうございました。