自宅近くにある飯能銀座商店街。祭りのときは山車が練り歩き、多くの人が集まる。しかし、イベント以外の人通りはまばらで静かで、シャッター商店街になっている。

商店街には4種類ある

  • 近隣型商店街
  • 地域型商店街
  • 広域型商店街
  • 超広域型商店街

近隣型商店街と地域型商店街が全体の9割を占めており、シャッター通り化になっているのだ。
各地で衰退している商店街の活性化に向けての対策ってどうなっているのか?課題は?事例は?

調べてわかった!

1973年に成立した大規模小売店舗法により、商店街にあるような小売商は大型スーパーから守られるような規制がかけられ、競争の必要がなかった。

衰退する商店街の実態と活性化に向けて行われている対策の現状を把握したい!

地域型商店街の今、止まらない衰退

商店街の周辺に小・中規模のショッピングモールが立ち並ぶ状況は、多くの地域で見られる。多くはチェーン展開のため、品揃えが多く安価だ。客はスーパーに向かうようになり、商店街は衰退が顕著に。

調べてわかった!

1980年代、流通に関する規制緩和によって大規模な小売チェーンが地方に進出しやすい環境になった。公共事業の拡大によって地方都市の郊外化が進み、周辺道路の整備も積極的に加えられ、大規模な団地、工業用地計画が進行。しかしバブル崩壊後、その計画は商業用地に変更され、大型ショッピングモールが乱立。商店街に影響が及ぶ結果となった。

不利な条件のスーパーや商店は、閉店・撤退に追い込まれた。そしてコンビニエンスストアの存在!

1970年代以降急速に成長。1980〜90年代後半の規制緩和に加え、酒・米・タバコ・中古品・魚介類の販売許可も緩和が求められ、いろいろな業態がコンビニへと転化。商店街の中核とも言える、酒や米穀などはコンビニで買えるようになってしまったのだ。

うちの近くの飯能銀座商店街、
お客さんが少ない!なぜだ。

商店街の位置する「飯能中央」。商店街から50mもない場所と、商店街から300mほど離れた場所に出店しているスーパーや、駅ナカに多くの客が流れている。さらに大型ショッピングモールが出店。自家用車を持つ客はそちらに流れている傾向にある。

商店街には「飲食店」の割合が多い。放置されている空き店舗があり、新しいテナントが入る可能性が低い。負のスパイラルが続いてしまっている。

進まない対策

活性化対策、4つに分類できる!

  • 現状型(できることから始める)
  • 特化型(観光などにする)
  • 商店街再開発型(再開発に頼る)
  • 連携型(地域交通などインフラ整備と連携)
調べてわかった!

地域型に適しているのは現状型と特化型だ。商店街を一つの100円ショップに見立てた100円商店街や、各商店の店主が講師となって知識を伝えるまちゼミ。実際にまちゼミは東青梅などの商店街で実施された。

バルも成功した!

商店街内の飲食店を「はしご」するバル。2004年に函館で始まり、2009年伊丹市でも実際され注目されるようになった。

現状型が派生して「商店街宅配」も好評なんだそうだ。

団地にすむ高齢者といった買い物難民の支援を前提とした活性化事業。晴見町商店街(東京都府中市)によると、1回あたり300円で車で配送してくれる。これにより利用件数も増加している。

観光をテーマにした特化型はどうだろう?

青梅駅周辺の商店街で、レトロな街並みに合わせて「昭和レトロ」をテーマにまちづくりを図ったが、観光客は増加したが、商店街の集客につながることはなかった。「もんじゃ」で有名な月島の西仲商店街の9割は観光客だった。

何かおかしい地域型商店街の現状

商店街が抱える問題は2つ!

駐車場がない!
空き店舗が居座り続けている!

空き店舗に対する対策は追いつかない。

原因は大きく分けて2つ。
テナントが入りにくく、家賃問題、耐久性、十分な改装ができないなど複雑な問題が入り組む。そして、家主が貸す気がないのだ。

なぜ貸す気がないの?

空き店舗の家主の多くは金があるからこそシャッターを閉めて、商店街に居座る。金融機関からの融資を受けている場合、閉店した場合には、借入金の返済を迫られる。現金がない場合は、担保として土地、建物、自宅、自動車を売却することで返却しないといけない。過去に得た収入や別の収入などがあるため、空き店舗にしていても問題ないというのが、理由だ。

対策の落とし穴

活性化対策がうまくいっていない商店街も多い。それはなぜか。

別の商店街の成功例を見よう見まねでやってしまい、周辺住民に認知されないのが原因。その背景には、商店街と商工会や市、区などの連携ができてなく、資金面の援助が受けられないなどが挙げられる。

「まちづくり」と「商売」のバランス

連携することがメリットばかりではない。「まちづくり」に傾倒しすぎると、本来の目的の「商売」が薄らいでしまう。補助金などを求めると商売に関する奇抜な事業は排除される傾向になる。

「両立」する対策はあるの?

富山の例で商店街組織と行政とは別に「株式会社まちづくりとやま」という第三セクターが設立された。商店街の利益ではなく、あくまでも地域における商店街の価値を高めることが目的。運営の費用は役所が負担。活性化事業を効果的なものにする土台だ。小規模のイベントをいくつも実施し、展示やパフォーマンス団体に貸し出すなどの工夫も。

飲食業のケースは?

飯能銀座商店街では「日替わりシェフレストラン」を実施。貸し出し式の店舗を希望者が日替わりで使う。プロ以外にも、将来自分の店を持ちたいと考える人や学生も1日3500円で使用可能だ。

買い物難民への対策は?

武蔵村山市の村山団地中央商店街の客の送迎の取り組みがある。高齢者が50%に達しているため、商店街の客足が減少。宅配事業を始めたが、「自分の目で見て買いたい」といった声が上がり、送迎事業をスタート。送迎はなんと自転車を採用!宅配の時よりも売り上げ増加となった。

大型ショッピングモールが進出する中で、生き残るのはとても難しい。商店街の活性化としては魅力的な店を集める、これに尽きる。そしてそれぞれの店舗も意識を変えて、斬新なサービスなどにトライする必要もある。活性化対策の例はほんの一例だ。今後も見つめてきたい!