ぼくはジンベエザメが大好き。去年、館山市の波左間で保護されたジンベエザメの「アキレス」と一緒に泳ぐことができました。その後何度も会いに行ったけど、超大型台風が直撃してアキレスが逃げてしまいました。ぼくはすごくショックで、アキレスがどこに行ったのか、ジンベエザメの回遊ルートを調べてみようと思いました。

アキレスはどこへ行ったの?

ぼくの予想

ジンベエザメは黒潮にのって波佐間の海に来たからまた黒潮にのって泳いでいったのだと思う!

なぜなら・・・

調べてわかった!

『ジンベエザメは世界最大の魚類で、世界中を回遊しています。』『人の歩くほどの速さ(時速4キロ)で、ゆうゆうと世界中の暖流の海を回遊する。』

と書いてあったから!

アキレスはどこへ行ったの?

「ジンベエザメと会うツアーがあるみたいだよ」とお父さんが教えてくれたので、旅行会社に行ってみたよ!

調べてわかった!

セブ島、モルディブ、メキシコ、日本(沖縄)でツアーがあって、それ以外にもジンベエザメが見られるスポットを教えてくれました。

世界地図にジンベエザメが見られるスポットをシールでマークしてみたよ!

なんと、セブ島やモルディブでは一年中ジンベエザメに会えるんだって!

あれ? ジンベエザメって回遊魚なのにどうして1年中会える場所があるの? まさか、1年中ジンベエザメがいて回遊していないとか?

「いおワールドかごしま水族館」がすごかった!

ジンベエザメに機械をつけて回遊ルートを調べている水族館があるみたい!行ってみよう!

ジンベエザメの回遊ルートを調査している「かごしま水族館」の土田さんにお話を聞きました。

毎年たくさんのジンベエザメが集まる鹿児島。かごしま水族館では、定置網にかかったジンベエザメを飼育したり、発信タグをつけたりして、回遊ルートを調べています。

調べてわかった!

鹿児島で放流したジンベエザメは、南下して沖縄周辺を行ったり来たりして、東シナ海まで泳いで、鹿児島に戻ってくるなど、鹿児島周辺の海を回遊していた。

なんとびっくり!どのジンベエザメも鹿児島の近くの海を回遊していて、世界を回っていないじゃないか!!

海流と回遊の関係

放流されたジンベエザメが、思っていたよりも遠くへ行っていなかったのが不思議だったので海流のことを調べてみることにしたよ。

調べてわかった!

海流って場所によって流れや向きが違うんだね!それに、あまり海流同士が混じっていない。もしかしたら、決まった海域だけを回遊していて、他の海域までいくのは珍しいのかもしれない!

ぼくの予想
だから、「世界中を回遊している」とは言わないと思う!

出版社に聞いてみよう!

本に書いてあったことと違うので、出版社にお手紙を書いてみました!

出版社から電話がかかってきたよ!

世界中を回遊しているという表記は、「世界一周」という意味ではなく、広範囲の回遊を指しての表現です。また、決まった海域での回遊については、バイオロギングのサンプル数が少なく、範囲が特定され、定義されなければ、本にのせるまでには至らないのです。

生き物は特に年々研究が進んでいて、認識がどんどん変わることもあります。5~6年に一度改訂を行っています。

もう1つ。ぼくが調べたジンベエザメは329mも潜っていました!本にはジンベエザメが表層地域に生息していると記されていますが?

そこは、ちょうど表記を変えたところです!研究が進んで200m以下でも泳いでいることが確認できたので、新訂版では、生息域を「沿岸、外洋の表層、中深層、まれにサンゴ礁にも現れる」と表記を変えています。

本当だ!新しい図鑑は変わっている!この表現ならぼくも納得できます!

本が改訂によって大きく変わることにびっくりしました。だから、これからは出来るだけ新しい本を使って調べたいと思います。そして、ぼくがもう一つ気になっていることがあります。それは、ジンベエザメとサンゴとマングローブの関係です。ジンベエザメの生息地を調べると、マングローブとサンゴの分布図がほぼ重なることを発見しました。新訂版の図鑑には、「まれにサンゴ礁にも現れる」と新しく追加されていたけれど、マングローブについては書かれていません。ぼくは絶対にこの3つは関係があると思っています。いつかぼくの発見が図鑑にのったらいいな!