新型コロナウィルスで様変わりした生活。「自己免疫力を高めて予防するのが効果的」だと知った。必要なのは「十分な睡眠」「バランスの良い食事」「腸内環境を整える」。腸内環境を整えるには、発酵食品がよいらしい。ぼくの頭に浮かんだのは日本の伝統の味「味噌」。味噌が自己免疫力を高めてくれるのか、コロナウィルスに負けない体づくりを助けてくれるのか。味噌に隠されたひみつを解くため、ぼくは味噌のまるごとを調べることにした。

発酵(オリジナル作品 7~8ページ)

そもそも発酵とは何なのか?

「菌が働くこと」ということは知っている。
しかし、どの食品にどんな菌がいて、どのように働き、どれくらいの時間をかけて働けば、食品として成り立つのか、詳しくは分からない。

ぼくの予想

発酵とは、それぞれの菌が増殖し、食べ物の成分を変えて、おいしくすること。食品によって、菌の種類は違うと思うし、働く時間や温度もさまざまだと思う。

調べて分かった!

ポプラディアネットliteによると、発酵とは、「微生物がおこなう物質の分解。一般に糖などの炭水化物が分解されて、アルコールや酢酸、乳酸などがつくられる。みそ、酒、パン、ヨーグルト、チーズなどをつくるときに利用される。」とあり、また、「微生物がおこなう同じ現象でも、人間にとって悪い影響をおよぼすものは腐敗とよばれ区別される。」とある。

代表的な5種類の発酵菌を取り上げ、表にまとめておきたい。

つまり、発酵とは、比較的高い温度の中で、物質を分解し、消化しやすい成分に作りかえる、人にとって有益な菌の働きであるといえる。

発酵と免疫(オリジナル作品 9~16ページ)

発酵菌に対する関心がさらに高まる。
菌を体内に取り入れることで、人間にとって免疫力の向上やその他、有益なことが起こり得るか。体内に取り入れた菌は、消化されずに体内でも働くことができるのか。
新たな疑問が生まれる。発酵と免疫との関係を明らかにしていきたい。

さまざまな食品に使われている乳酸菌と味噌にかかわる麹菌の2点にしぼって調べを進めていく。

調べて分かった!

乳酸菌とは、一般的に、牛乳に働きかけて、乳酸を作り出す400種類以上の菌のことをまとめていう。分類の定義として大きく3つ。

  1. 棒状か球状をしている菌。
  2. 酸素が無くても増えることができる嫌気性菌のうち通性嫌気性菌といって酸素は嫌いだが酸素があっても死ぬことはないという菌。
  3. 栄養にした糖の半分以上を乳酸に変える菌。

乳酸菌の定義③についても考えたい。

調べて分かった!

乳酸菌の栄養となる物質は、牛乳に多く含まれる乳糖という糖分である。
この糖分を取り込んで体の中で分解し、必要な栄養分を取り出して生きている。
このときに分解されてできる物質が乳酸で、強い酸性である。
胃酸よりも強い酸性の液体を作り出せることから、悪玉菌や体に害を及ぼす細菌を殺すことができ、通常では除去の難しい、ピロリ菌の殺菌にも有効である。

乳酸菌を摂取することは、悪玉菌の住みにくい環境を作ることにつながり、腸内環境を整えることができる。
つまり、乳酸菌が人の体に役立つ働きをしていることが分かる。

次に、人間が一生のうちで口にする数について考えていきたい。

ヨーグルトの中には、1グラムあたり、1000万個から10億個近い乳酸菌が生きている。

上の計算の通り、かなりの乳酸菌を摂取することができるので、それが健康や免疫力の向上につながるといえる。

続いて「麹菌」と免疫の関係を追う。

調べて分かった!

麹菌は国菌に指定される「日本特有のカビ」。麹菌はアルカリ性の環境になっても生きていくことができるため、アルカリ性の環境下で活動できない雑菌の性質を利用し、木灰(アルカリ性)を混ぜ、雑菌の繁殖を抑えて発酵させる。しかし、発酵に必要な酵母菌もアルカリ性下では弱ってしまう。そこで麹菌は、自分の体からアルカリ性に強い物質を分泌し、酵母菌に被せてあげることで、酵母菌を救う。

こうして雑菌は減り、発酵に必要な菌類だけが残れるという素晴らしい働きを麹菌は見せるそうだ。

調べて分かった!

食べ物を分解するとき、人間では、唾液、胃液、胆液、膵液、腸液の5つの消化液とその中に含まれる酵素によって分解している。一つの消化液だけでは完全に分解しきれない。しかし、麹菌は、とても小さな体ひとつでいくつも消化酵素を出し、急速に食べ物を分解する。麹菌が行う酵素による分解は、人間の体内の消化器官で行う分解と同じ。
そして、麹菌は、分解と同時に、疲労回復に効果的なアミノ酸や、ストレスを和らげる GABA 、肌の調子を整えるセラミドなど、健康維持のために有効な成分も作り出している。

結論。乳酸菌も麹菌も免疫力を上げる働きを行っている。麹菌の予想をはるかに超えた働き、利点に驚かされた。

味噌の歴史(オリジナル作品 18~24ページ)

味噌はいつから存在していたのか。また、味噌の発祥の地はどこなのか。
味噌と人の関り、歴史について探りたい。

ぼくの予想

室町時代くらいから存在していたのではないか?
「銀閣」や「能」、「狂言」が誕生した室町時代と同じく、和の文化である味噌も室町時代に存在したのではないか?
発祥の地も、日本であると予測する。

調べて分かった!

味噌の起源については、中国大陸を発祥の地とすることで一致する文献が多い。
紀元100年頃から味噌の原型「醤」が存在していた。

「醤」は日本にどのように渡ってきたのだろう?

調べて分かった!

10冊の文献を参考にまとめてみると、

【説1】中国へ遣隋使や遣唐使が往来していた時代に醤も渡ってきた。
【説2】古墳時代以降の朝鮮半島との交流の中で日本に渡ってきた。

以上の2つの説が有力である。

調べて分かった!

大宝律令を始めとする日本の古代の文献の中に「未醤」という文字が出てくることから、少なくとも平安時代以前には現代の味噌につながる調味料が日本にも存在していたことがわかる。

現存する日本最古の歌集『万葉集』には「醤」の文字、宮中で料理に携わる役職の振り分けについて記された『令義解』には、「主醤」という言葉が見つけられる。平安京の市場で取り引きされていた商品について記された『延喜式』には、「未醤」の文字を確認。

「未醤」は後に、「みしょう」→「みしょ」→「みそ」となり、現在の「味噌」のはじまりになったことを文献により知るに至った。

調べて分かった!

平安時代以降、稲作が全国に広まると、米麹を用いた米味噌が作られるようになり、全国に広まっていった味噌。鎌倉時代から室町時代にかけて、庶民にも親しまれる調味料として発展し、自家用の味噌づくりも盛んになっていく。(自分のうちの味噌が一番美味しいとかんじる『手前味噌』という表現もここから生まれた。)保存の効く味噌は、戦国時代には大切な兵糧とされ、各地の戦国大名たちは進んで味噌づくりを行わせた。江戸時代になると、全国各地の味噌が江戸に運ばれ、味噌を使った料理が発達。現在では、手軽に飲めるカップの味噌汁も誕生し、形を変えながら今に受け継がれている。

人間の生活の文化の繁栄と、味噌の価値の繁栄は比例しているものと考える。
味噌があったからこそ、人間の健康も約束され、人間の生活の発展があったからこそ、味噌もさまざまな形で発展していったのではないか。
味噌と人の生活の発展の深い関係をぼくは見出したように思う。

食品としての味噌(オリジナル作品 25~31ページ)

味噌の栄養分はどのようなものか。
味噌の栄養価を知り、どのような使われ方をし、どのように和食をいろどっているのか知りたい。

調べて分かった!

味噌に含まれる成分は9種類(タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンB群、ナイアシン)。
味噌には、ヒトの体に欠かせない成分、栄養が存分に含まれているが、成分表を見て見ると、ビタミンにおいて欠けている点は否めない。

味噌の成分にないものを補うことで、より栄養価の高い食品として成立するのでは?
味噌とビタミン豊富な食材を組み合わせることで、欠点を補うだけでなく、最高で最強の味噌料理を生み出せるのではないか。

ぼくは、料理本を参考に、最高で最強の味噌料理に挑むことにした。
まずは、漬物。ヨーグルトと味噌を漬物床として、野菜を美味しくする料理に挑戦する。

そして、味噌汁にも挑戦。
ビタミンを豊富に含む野菜を入れた味噌汁は、ほぼ完全といっていいほど、栄養素が揃っている素晴らしい食品となった。

ユネスコ無形文化遺産(オリジナル作品 32~33ページ)

伝統食品である味噌は、和食をどのように彩っているのだろう。
和食における味噌の存在とはいかなるものだろうか。

ぼくの予想

一汁三菜が誕生した室町時代から味噌は、汁物として日本人の食生活の一端を担ってきたのではないか。また、発酵食品としての味噌は、日本人の健康を陰で支えてきたものと推測する。

調べて分かった!

2013年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界の中で重要な文化として認められることとなった「和食」。主に長い歴史と独特な地形によって生み出された料理と食に対する習わしが評価されたという。

評価された習わしは4つ。

  1. ①多様で新鮮な食材とそのもち味の尊重
  2. ②栄養バランスにすぐれた健康的な食生活
  3. ③自然の美しさや季節のうつろいの表現
  4. ④正月などの年中行事との密接なかかわり

②の「栄養バランスにすぐれた健康的な食生活」とは、健康的な食生活に役立つ「一汁三菜」の習慣だ。基本的に味噌汁と三種類のおかずのことで、「一汁三菜」の言葉にあらわれているように汁物は和食に欠かせない。
「一汁三菜」を支えている旨味は、動物性油脂の摂取を減らすことに貢献しており、日本人の健康は「一汁三菜」を抜きにしては考えられない。そして、その旨味こそが調味料であり、その代表格が味噌であるとぼくは思う。

和食の一端を担ってきた味噌。これからも「和食」を彩り、日本人だけでなく、世界の人々の健康をも支える調味料として、その存在を輝かせていくものと確信する。

味噌づくり(オリジナル作品 34~39ページ)

地域ごとに異なる味噌の種類をまとめてみるうちに、ぼくなりの自家製味噌(悠人味噌)を作りたいと思い立った。

調べて分かった!

茹でた大豆に麹菌を入れた日から約5か月間の発酵期間を設けた。麹菌を投入した直後の味噌の色と完成後の味噌の色には、著しい変化が見て取れる。この著しい変化こそが発酵の力である。
発酵前から切り返し作業までの色の変化と、切り返し後から完成までの色の変化を比較したところ、後者の方に大きな変化が見られ、切り返し作業が味噌の発酵を促す大切な作業であることも分かった。

さて、自家製味噌(悠人味噌)の味であるが、大豆の味がしっかり感じられるやや甘味の強い仕上がりになった。やはり、店頭で販売されている味噌には遠く及ばない、気がする。

本場味噌づくり(オリジナル作品 40~45ページ)

本だけを頼りに自分で味噌づくりを行ったぼくは、自分の味噌づくりは正しい工程を踏んでいるのか、確かめたくなった。
昔ながらの製法で、味噌づくりを行っているところ、味噌づくりの専門の方の指導のもと、実体験できるところを探して、長野県茅野市の丸井伊藤商店 発酵パークを訪ねた。

調べて分かった!

本場味噌づくりの体験を通して、自前味噌の不足点を考察したい。
不足点としては以下の3つが考えられる。

  1. 塩の量が足りなかった。→大豆の味が強く出た甘い味噌の仕上がりの理由となった。
  2. 大豆の粒が大きかった。→大豆の粒感が口に残る味噌の仕上がりの理由となった。
  3. 酵母菌を 入れ忘れた。→麹菌だけでなく、いくつかの発酵菌を取り入れ、風味を安定させるために 種味噌を混ぜる必要があった。

今回体験した味噌づくりの味噌は、今もなお発酵中である。
伝統の製法で作った味噌も、自分で本を調べて作った味噌も、その工程は奥深く、1つ1つの作業に先人たちが生み出した食への知恵を感じるものとなった。

終わりに(オリジナル作品 48ページ)

味噌という食品。それは、はるかなる歴史をもち、隠された栄養を備え、昔と今をつなぐ和食文化の立役者であると、ぼくはこの調べ学習を終えて思う。食卓にあがる味噌と出会う度に、ぼくは今まで感じなかった敬意を味噌にはらうだろう。海を越えて日本の土地に渡り、日本の文化と融合して、今の形へと変化を遂げた味噌。これからも日本人と世界の人々の健康を陰で支え、和食文化を彩っていくものと思う。「まるごと味噌」、味噌のすごい!に気づかされ、守られてきた味噌の伝統をまるごとぼくも未来へと受け継いでいきたい。